本紹介

こんにちは。夏が近くに感じられる季節になりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。実践教育プログラム第1期生の事前学習もついに始まりました。センターの教職員一同、気合を入れて履修生のみなさんをサポートしていきます!

 

さて、今日は本の紹介をしたいと思います。ほとんどの学生にとって、大学生活の終わりには就職活動が待ち構えています。こう言うと1、2年生のみなさんは「せっかく大学に入ってもう就活の話かよ」「まだまだ先の話だよ」と思われるかもしれません。が、とにかくどのみちみんな就活を経験するのだとすれば、それがどのようなものなのか早いうちに情報を仕入れておいて損は無いはずです。

 

という訳で今回取り上げるのはこの本。

リクルートを辞めたから話せる本当の「就活」の話』です。

 

本書の説く、学生が就活を成功させるために必要なことは、次の二点に集約されます。すなわち「突き抜ける経験」と「論理的・構造的にまとめ、書く・話せるようになる」ことです。

  

後者はわかりやすいです。結論を最初に述べる、質問にはまず端的に答える、修飾語句の位置を意識する...といったことが大切だということです。

 

この記事では前者の「突き抜ける経験」についてもう少し説明したいと思います。「突き抜ける経験」とは、「何かの分野で一番になる」「誰にも負けない結果を残す」「ものすごい量をこなす」「しっかりコミットして逃げずに継続する」「極めて困難な状況を乗り切る」といったことであるとされています。このような条件を満たせば、趣味でも旅行でも、どのような経験も「突き抜け」たものにできるといわれます。

 

具体的にはどのようなことを指しているのでしょう。著者は「突き抜ける経験」の場として、比較的短期で結果が出せるアルバイトを推奨しています。本書の例では、学生は「自分が働いているアルバイト先で一番になろう」「自分が働いている店舗を、エリアや全国で一番にしよう」「自分が働いている店舗を、エリアや全国で一番にしよう」という課題を、結果が出るまで試行錯誤しながら続けることで「突き抜け」ていきます。

 

ここで重要なのは、その結果がPDCAサイクルを回したことによって達成されたものである必要があるということです。計画(Plan)→実行( Do)→検証( Check)→改善( Action)というプロセスを繰り返すことによってこんな成果が得られた!ということを具体的に述べることが、就活で最も大きなアピールポイントになるというのです。

 

なんとなく数年間部活やサークルを続けてきたことは、頑張ったことではない。

学校で取れと言われた資格の勉強に夏休みを通して取り組んだことは、頑張ったことではない。

学生仲間でいろいろうまくいかなくて、話し合ってまとまったことは、頑張ったことではない。

旅行でふらふらと海外に出かけたことは、頑張ったことではない。

(中略)PDCAのサイクルを回すことが、問われていることだ。目標を立て、それに向かって邁進し、問題が起きればその問題から逃げずに、成果を出す方法を考え、その問題を乗り越えていくことだ。時には非協力者を説得したりすることも必要だ。時にはなかなか結果が出ないことを我慢し、継続しなければならない。(p.104)

 

サークルでいくら貴重な体験をしたといっても、学生の話を聞けばどれもありふれたエピソードばかりで、ほとんどが「成果」とは関係のない経験だ。しかも面接用に内容が盛られていることも多い。突き抜けた経験をした学生はわざわざ話を作らなくても、自分 が経験したこと、学んだことをありのままに話すだけで十分面接官に印象を残すことができる。それだけで成果を出せる人材だということは十分に伝わる。(p.152)

  

ここで「頑張ったことではない」と一刀両断されているのは、どれも採用担当者が普段飽きるほど耳にしている「ありふれたエピソード」なのでしょう。つまり、そのような他人と同じ話をしたのでは「十分面接官に印象を残すこと」はできない(から選考に残らない)、と。そこで、自分は他の就活生と違って「成果を出せる人材」であるということを示すのに、「突き抜けた経験」の話が武器になるという訳です。

 

ところで、一般に就活の進め方として「まずは自己分析!」といわれます。それに対し、著者は次のように言っています。

 

しかし実は、いきなり自己分析から始めるのは、とても危険なことである。

働いたこともない学生が、「自分はこういう人間だ」「こういう人間だから楽しくこの仕事に取り組める」と決めてしまうと、その人の就職活動はそれより先に進めなくなってしまう。なぜなら、自分勝手な「定義された自分」のフレームにすべて嵌まる企業・仕事というのは、ほとんど存在しないからだ。(p.72)

  

まさにその通りだと思います。そして声を大にしていいたい!そこでインターンシップですよ!!!と。

実践教育プログラムでは、企業や自治体で1ヶ月以上のインターンシップが可能です。普通の(就職課で行われている)インターンシップの多くは1、2週間ですが、それだと「お客さん」として過ごしているうちに終わってしまうかもしれません。しかし、1ヶ月ともなれば、実際に働いている人により近い視点から、その職場・職業を知ることができます。しかも実践教育プログラムでは、現場経験の豊富な教員のサポートを受けながら、インターンシップに参加することができるんです!

 

宣伝になってきましたが、インターンシップの経験は、自分の就職やキャリアについて考えるうえで、絶対役に立ちます。

 

閑話休題。本書は、就活とはどのようなものか知るための良い手かがりなる本だと思います(いまの就活のあり方が良いか悪いかは別として)。興味のある方、言ってくださればお貸しします。(内)